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「PMF、上場したランサーズでやることあるの?」という質問にお答えします。

itakura|2021年11月11日
エンジニア組織

みなさんこんにちは。プラットフォームサービス Lancersの事業部長を務めている板倉(@idemii)です。

突然ですがみなさんにお尋ねしたいことがあります。
みなさんはPMFした会社ではやれることが少なくてつまらないというイメージを持っていませんか?
特にチャレンジ精神が旺盛な方々から見ると、上場した=PMFしているのではないか?上場した会社ではやれることが少ないのではないか?という声も実際によく耳にします。LancersというプラットフォームサービスもPMFをしているとよく言われますし、上場も果たしているため、そのように思えてしまうかもしれません。

しかし私は全くそう思っていません。ランサーズにはまだまだ挑戦すべきことがたくさんあり、上場も1つの通過点であったと考えています。今回はPMFや上場がゴールと思われてしまう理由やランサーズが現在見据えている目標についてお話します。

PMF、上場ゴールの風潮はなぜ生まれるのか

PMFや上場を果たすと一旦落ち着くイメージがありますよね。プロダクトマネージャーのコミュニティーに参加していてもそういった声をよく耳にします。PMF、上場した企業ではサービスを1からドライブする面白い段階も過ぎていて、グロースハックに専念しているというイメージを持っている方が多いのかもしれませんが実際は違います。

例えばサイバーエージェントは上場後に赤字覚悟でabemaという新しいプロダクトを展開し、成功を収めています。このように上場後に大きなチャレンジをしている企業は数多く存在します。

上場前と上場後の違いは説明責任の必要性

ただ、上場前のように自由にチャレンジができるかというと少し違う点があります。それは何をするにしても、利益を創出することが求められることです。株主から出資していただくパブリックな企業として、プロダクトの必要性や戦略について納得できるような説明が必要となります。そのため、上場前に比べるとリスクを取り自由なチャレンジはPMF、上場してもできる、しかし説明責任は増えるというのが私の意見です。

ランサーズはまだ本当のPMFをしていない

ランサーズは創業年と同じ2008年に、クラウドソーシングプラットフォームのLancersを展開しました。私はPMFが達成されたというタイミングは広告やCMなどを打たずに、極論何もしなくてもサービスが売れ続けている状態だと考えているのですが、Lancersは2012年頃にその状態になったと考えています。

しかし、私たちはこのPMFはあくまでも通過点だと考えています。クラウドソーシングプラットフォームとしてのPMFは果たしたかもしれませんが、企業としてランサーズが目指す目標はまだ達成できていません。

企業としてはようやく10→100フェーズに立ったところ

ランサーズは全ての企業がフリーランスの方と働いたことがあるという社会を目指しています。そして正社員とフリーランスが同じ選択肢の中で存在できるよう更なる個のエンパワーメントを実現しようとしています。

その点で考えると、まだまだ乗り越えるべき課題はたくさんあります。商慣習で個人に依頼することを好まない企業様もいれば、責任を持てるのか不安と思う企業様、さらには外注リテラシーがないため頼みたくても頼めないという企業様もいらっしゃいます。

現在ランサーズという企業としてはクラウドソーシングとしては100→1000フェーズに見えるかもしれません。一方でこれらの課題を解決する10→100のフェーズに立っていると考えています。そのため、上場してもまだまだやらなければいけないことはたくさんあるのです。

            ▲ランサーズIR資料より

上場しても、新しいチャレンジが始まるだけ。ランサーズでの2つのケース

ランサーズは2019年の12月16日に上場しました。上場前に比べてコーポレート系の稟議や開発の内部統制など厳しくなったこともありますが、目指すべき目標は当初から変わっておらず、新しいチャレンジを続けています。実際に私自身も上場後にも思い切ったチャレンジをしてきました。今回は2つのケースを紹介します。

1. 発注側が評価される、仕事ランク(AI判定)機能の実装

まず1つがAIを活用した仕事のランク付です。

実際にリリースしたのは上場直前ですが、上場準備をしている段階でリスクもある施策内容でした。

これはクライアントが発注した仕事に対してAIが仕事の分量と依頼金額を分析し、適正価格かどうかを判定するものです。お金を支払う側のクライアントの仕事内容にこういった基準を設けるのは、不快に思ったクライアントがサービスを利用しなくなるリスクなどがあったため、競合他社ではやろうとはしませんし、社内からも反発がありました。

しかし、よりクライアントとランサーの最適なマッチングを目指すため、紆余曲折を経て実装に至りました。結果的に発注金額が上がり、より質の高いマッチングを実現できました。

また競合他社と比較して、品質が良い仕事ユーザーがいるというお声をたくさんいただき、認知変化が起こりました。プロダクトの制度/機能起点で、ポジショニングの変化まで生むことができたのです。

2. 既存サポートを収益化する、法人向け定額プランの導入

もう1つが法人でランサーズを契約いただいている方向けに月額制のサポートプランの導入です。これまでランサーズが行っていたサービスをより細分化してプランとして販売してみようという取り組みでした。これまでのランサーズでは行ってこなかった新しい取り組みであったため、反対の声もありましたが、サービスとしての価値を高めていくため結果的に実装することになりました。

結果的には多くのクライアントにご利用いただけて、サービス価値の向上に繋がりました。

上場後のチャレンジに必要なのはダウンサイドをどうカバーするかの説明

これらのケースは反対意見もありましたが、無事に実装のフェーズへと移り、今では成果を出すことができています。私がこの2つのケースの実装のために意識していたことはダウンサイドのモニタリングです。

上場前と比べてリスクマネジメントが求められるため、撤退条件を明確にしダウンサイドが起きた場合、どのようにして補填をするかまでを役員に説明しました。

もちろん、こうしたダウンサイドのカバーは上場前のチャレンジ段階でも必要であると思っていますが、実際に意識しないことのほうが多いのではないでしょうか。

上場後は0→1フェーズとは違った楽しさを感じられる

「PMF、上場後にはチャレンジすることがなさそう」という意見に真っ向から反論させていただきました。実際に会社、個人の目的意識次第でPMF、上場後にもチャレンジできることはたくさんあります。私自身上場しているということをあまり意識していませんし、ランサーズという企業にとって、本当のPMFはまだまだ先にあると思っています。

この記事を見てくださった方が「既存事業でもチャレンジできるところはたくさんあるな」とか「上場してもしていなくても目的意識がはっきりしていればやるべきことは変わらないな」と、少しでもポジティブなイメージを持ってくだされば幸いです。