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企画/開発の境目を取り除こうとしていたら プロジェクトにおける6つの問い をつくっていた話

yokoi|2016年11月04日
DevOps

ランサーズCTOの横井です。

元々ランサーズではプロダクト開発部というところの部長もやっていたのですが、10月の組織変更で改めてプロダクト企画部長も兼任となりました。これまで以上に統合的にプロダクトづくりに取り組んでいけるんじゃないかなーと思っております。

……というものの光陰矢のごとしでして、あっという間に1ヶ月が過ぎました。

最初は、企画と開発を両方同じ人間が見るんだから、統合的な何かを生み出さないとあれですよねー、打ち首獄門ですよねー、とか思っていて、思っていてというかこの記事の冒頭でも書いてるんですが、まあとにかくそういう何かを考えようと。

ランサーズの(少なくともこの1年の)企画は、開発と組織が分かれていたこともあり、ものづくりにおける理念みたいなところとかプロセスとかを企画/開発でちゃんと共有できていたわけではありませんでした。勿論中には各施策レベルでそれらが上手く回るチームはありましたが、残念ながら全体としてはうーん……という。

実際にあったかどうかは別として下みたいな感じでそれは噴出していたりしてですね

  

企画:見積りが毎回ずれるんだけどどうなってるの!

開発:企画の意図がそもそもわからん! というか要件が詰まってないんだからそりゃずれるよ!

  

みたいな。まあ、あるあるといえばあるあるですね。このままでは戦争はこの世界から消えません。

  

そこでとりあえずプロセスを一本化しようと思い立ったわけです。

それにあたって当初はかなりガチガチに考えていて、企画/開発の機能/職掌分解からはじまって、ワークフロー描いて、じゃあここは何のツール使おう、○○とxxが選択肢だよなー、じゃあそれのプロコン出してどれにするか決めて、次はそれが上手く回るような運用フロー考えて、でもやっぱり最後はみんなのモチベーションだから、みんながそのプロセスに乗りたくなるような仕組みを考えて、あー、複雑になりすぎたからちゃんとドキュメント書いて、新しい人とかのことも考えて入社フローにも組み込んで……

    

あああああああああ!!!!

    

……となってしまったので、改めて考え直そうと。改めて考えると、自分がやりたかったことって○○ってツールを使うこと、とか、xxっていうやり方を試してみること、じゃなかったんですね。じゃあなんなのかってことを考えるにあたって、みんなへの手紙のつもりでまとめてみようと、そういうつもりで書き始めたのがタイトルにある「プロジェクトにおける6つの問い」です。お前、みんなへの手紙の件名に「問い」とか書くのかよ、って感じですが、タイトルは後付けです。
  

プロジェクトにおける6つの問い

ステークホルダーと合意したものがまとめられているか?

  • プロジェクトの目的 / 背景 / KPI / 撤退基準などを全員と合意しておきましょう
  • 途中で道に迷わないようにするため、後から振り返られるようにするためです

受け入れテストは作成されているか?

  • 仕様書は必ずしも必要ではありませんが、達成すべきことは「実装前に」明確にしましょう
  • 達成すべきことが明確でなければそれは実装する段階ではありません(勿論決まっていないことを後回しにするのはありです)

進捗が感覚ではなく、ストーリポイント+ベロシティ+バーンダウンチャートによって語られているか?

  • 過去のみなさんの実績が一番の信頼できる指標です
  • 進捗を求められてから進捗を考えるのではなく、実際の進行と進捗確認が一体となるようにしましょう
  • 日々可視化することで、自分たちの速度を客観視しましょう

難しいところを後回しにしていないか?

  • 難しい箇所等の不確定要素は「必ず」最初のほうに潰してください
  • プロジェクトの最後には「後は手を動かすだけ」のタスクが残るのが美しいです
  • 終わりになれば終わりになるほど、見積もり精度、確実性は増していきます
  • その余裕が+αのユーザへの価値をつくる時間に当てられます

いつでも人に見せられますか?

  • いつでもチームメンバー以外に見てもらえる環境をつくりましょう
  • チームメンバー以外からのレビューは、一番近いエンドユーザからの声です。欲しがりましょう
  • 「バグがあって見せられない……」「まだまともに動かないから……」作業の粒度が間違っているか、受け入れテストを見ていないサインです。それが続くプロジェクトは、リリースまで周りに見てもらうチャンスを失い続けます。

細部のUI/インタラクションについて考慮する時間を取れているか?

  • 神は細部に宿るし、考慮していない習慣が生まれるとそれが突如蘇ることはありません
  • +αの価値を考えられるということは、みなさんのプロジェクト運用が上手くいった証拠です。おめでとうございます!

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ある日の出社前の15分くらいで勢いでぱーっと書いたのですが、いざ書いてみると自分の中では非常にしっくり来て、そのまま会社行って開発/企画陣に上の文章を見せて「自分はこれを問い続けるから、それに答えられるようなやり方/進め方はみなさんで考えてください。方法は任せます」と話しました。なんかちょっと開発寄りみたいな文章ですが、企画陣についても一緒です。
    
その後何があったか。

まだ上記の話をして2週間くらいですが、例えば、企画もGitHubを見て、Waffle.ioでIssueを管理していこう、となってWaffle.ioを導入していったり、企画メンバーと一緒になって色々試していっているような気がします。少なくとも自分があれこれ考えて「これだ!」とか押し付けていた未来よりは、間違いなく良いものになっている実感があります。

まだまだ正解は無いですが、自分の役目としては、上記をひたすら問い続けようかな、と。
    
おまけ

勿論15分かそこらで一人で考えたものが正解であるわけもなく、上記文章はGitHub上の弊社welcomeリポジトリ(最初に入った人が見るところ)に置いてあって、今後はプルリクベースでブラッシュアップしていきます。

というか3日くらいで早速一つ増やそうとしました。

スクリーンショット 2016-11-03 22.16.31

この辺の追加に関しても、企画/開発みんなで議論し合ったりしながら進んでいきたいと思っています。(ちなみに上記は早速企画/開発からツッコミが入りました)

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