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ブロックチェーンを活用したidentitiyの実装とそこから考える展望

ota|2018年12月19日
Blockchain

otaです。「ランサーズ Advent Calendar 2018 」18日目の記事です。

ランサーズにはブロックチェーンのプロジェクトがあり、identitiyまわりのリサーチおよび実装による検証を行ったので、それらでやったことの説明とそこから考える展望について書きます。

実装したもの

ERC725ERC735を活用して、Ethereumのアドレスにランサーズのアカウントを紐づけ、ランサーズのアカウントを持っているアドレスであれば指定のアクションを行えるというものを実装しました。社内でのみの運用で一般には公開していません。
コードはこちらです
技術的な詳細の記事はこちらです

展望

実装したものから考えたこのようなものがつくれるのではないか、というものをいくつかあげてみます。

信用情報の蓄積とスコアリング

アドレスに各種Webサービスのアカウント情報を紐付ける

各種サービスのアカウント情報をもとにスクレイピングをして各サービスの実績情報を取得

各種サービスのアカウント情報をランサーズのそのアカウントのプロフィールページに実績情報として表示する(現状でもプロフィールページにリンク等を埋め込むことは可能だが、そのリンクがそのユーザーのものであるかを証明することができているわけではないです。今回実装した技術を活用することによってたしかにそのアカウントを保持しているユーザーであるということが証明できます。)。

各種サービスの実績情報を用いて独自のスコアリングを行い、それらをもとに例えばランサーズ内での検索表示順位のロジックに加味するなどが考えられます。レンディングサービスなどであればそのスコアリングをもとに与信枠を決めるなども可能だと思います。

アドレスに各種サービスのアカウント情報を紐付けること、それらがたしかに本人のものであることを証明することは別にブロックチェーンでなくても可能なことです。しかしながら、非中央集権的で特定の企業や団体に依存しないところにそういったデータを蓄積することによって多数のプレイヤーがよりオープンな形でオープンなコードというルールをもとにした自由競争の中より自由な発想でそのデータを元に新しいサービス、新しい信用情報の活用方法を見言い出すことができるのではないかと思っています。

参考情報
Keybase
scouty

各サービスごとの本人確認を不要にする

アドレスに本人確認がされているという情報を紐付ける

本人確認済みである情報を持つEthereumのアドレスを使ってWebサービスに登録することでWebサービスに登録後、本人確認のステップをスキップできるようにする

本人確認を必要とするWebサービスは多く、ユーザーがそのたびに本人確認を行うのは手間だと思っています。それを一度だけで済ますことができればユーザーとして良いですし、Webサービス提供者としても本人確認を行うコストが削減できて良いと思います。

参考情報
TRUSTDOCK

非中央集権なログインID

アドレスを使ってログインする(Googleログインをブロックチェーンで実装するイメージ)

参考情報
DIF
OpenID
https://github.com/block-base/ethereum-login

展望と現実との差分

技術的には展望のところであげさせていただいたことはいま現在で可能であるものもあると思います。しかしながら、それが一般に普及するか、世の中にとって便利なものであるか、というところには隔たりがあると思っています。とくにUIUX部分での課題が大きく、今回実装したコードであればMETAMASK等を使った操作が必要になるのですが、広く一般の方に使ってもらうためには敷居が高いように思います。技術的にできるということはもちろんのことより扱いやすいクライアントを普及させていく必要もあるように思います。

まとめ

ブロックチェーンを活用したidentityまわりはなかなかおもしろいトピックだと思います!